日本の皆さんへ、南極より村上祐資です。
極夜祭 実行委員長
今、昭和基地は極夜を迎えている。
極夜というのは太陽が一日中、全く出ない日のこと。今年は5月31日から7月12日までの約1ヶ月半が極夜続く。
逆に、南極の夏が始まる11月からは、太陽の全く沈まない白夜が約2ヶ月間続く。冗談で、夏の期間だけを南極で過ごす夏隊を「日帰り隊」、僕ら越冬隊を「一泊二日隊」なんて言ったりする。
一日中陽が昇らないとは言っても、お昼時にはうっすら辺りが明るくなるので、完全に暗闇の日々が続くわけでは無いけれど。
極夜のちょうど折り返しの日、6月21日は、日本だと夏至にあたるけれど、南半球にあるここ南極では冬至になる。この日は南極で生活する全てのひとにとって特別な日だ。この日を挟んで数日間は、どこの国の基地でも
Mid Winter Festival(極夜祭、以下MWF)で盛大に盛り上がる。
極夜のせいで溜まった日頃の鬱憤を思い切り発散させるための、さしずめ南極にとっての正月みたいなイベントだ。この日は世界各国の基地からのグリーティング・カードが、メールで飛び交う。
ここ昭和基地でも、前夜祭と本祭3日間でお祭りが開かれた。シェフたちはこの日のディナーのために、まだ日本に居る間からメニューの構想を練り、食材の調達や準備を進めていたそうだ。その素晴らしいディナーだけではなく、屋台や余興、スポーツイベント、雪上車によるパレードなど沢山の行事が行われ、最後は花火と共に幕を閉じた。
MWFは全てが隊員の手作りだ。自分たちが楽しむお祭りは、自分たちの手で作る。麻布の文化祭と同じように、MWFの約1ヶ月前には実行委員会が立ち上げられ、実行委員長や各部門の責任者が決められる。第50代の今年の実行委員長には、僕が就任させてもらった。おかげでMWFまでの一ヶ月は極夜の鬱憤なんて溜めている余裕も無いくらい忙しく、祭りの期間中も企画や運営、そして安全を取り仕切ることに頭がいっぱいで、正直お祭りを楽しむ余裕はなかった。
でもそれにも増して、ここ南極で一つのモノを作り上げることができた満足感と、仲間との素晴らしい思い出を得ることができた。最後にみんなから胴上げという最高のプレゼントを貰い、僕のMFWが終わった。

2009年7月9日
村上祐資