麻布文庫

「麻布文庫」発刊にあたって

麻布学園創立一〇〇周年を機に、斯界の先端で活躍されている卒業生諸子による一連の記念講演がおこなわれました。それらの講演は、未知の領域へ私たちの目を開き、私たちの生き方を考えさせると同時に、知の冒険へ誘う刺激に充ちたものでありました。学園にとって知的財産として蓄積すべきものでありました。
さらに卒業生・教員だけでなく、広く麻布学園の教育に関わっている方々が紡ぎ出す多種多彩な精神の結晶も、同じ意味で貴い財産であります。私たちは、こうした知的財産を、学園に関係するすべての方々、とりわけ生徒諸君と共有することによって麻布学園独自の文化を醸し出したいと考えました。
「麻布文庫」は、このような意図をもって企画されました。
今日、情報化社会の中で、青少年の読書離れが憂慮されています。読書の第一歩は、一冊の本を手にしたときの親近感から始まります。麻布学園に関わる方々によって執筆されたこの文庫は、一冊一冊が〈私たちの生きている場〉から生まれた身近なものです。この意味においても「麻布文庫」を発刊する意義は、極めて大きいものがあると信じます。
麻布学園の特質は、生徒諸君の個性の多様さにあります。しかし、一人一人が自分の個をしっかりと確立し、自分の人生を歩むためには、偏狭さとは無縁な、柔らかな感性と強い精神力、深い思索力が欠かせません。「麻布文庫」が本を読む楽しみを通して、そうした力を養う一助となることを願っています。

1999年4月                  根岸隆尾

販売について

 頒価1冊500円で、事務室の窓口で取り扱っています。

 著者はすべて麻布学園の教職員・卒業生・関係者です。諸君にとって身近な人々が、どんなことを考え、実践し、研究しているか、また、麻布学園がどのように豊かな《知》を内包しているか、ぜひ実際に手にとって確かめてみて下さい。なお、頒価はいずれも500円です。

ラインアップ

1.江原素六の生涯
2.銅版画家 長谷川潔
3.地震・津波の話
4.メキシコ・中米一人旅
5.君たちの地球はどうなっているのか そして、どうなっていくのか −かけがえのない地球−(改訂版)
6.ぼくたちは冒険する・麻布生の異文化体験記
7.まんぼう君 海に潜る
8.ナショナリズム イデオロギー 宗教
9.いきあたり ばったり−僕と「麻布の自由」の物語
10.諸葛孔明
11.異文化が消えるとき
12.パレスチナ・グラフィティ
13.英語の考え方−英語の苦手な君に−
14.アジアを旅する−フィリピンからインドまで−
15.汝の馬車を星に繋げ−麻布学園とともに−上・下
16.戦時下麻布生のオーラルヒストリー